2019年 01月 04日
【本】山下太郎『お山の幼稚園で育つ』
世界思想社
2018.4刊
本体定価:1,400円
大抵の「むかし子どもだった大人たち」は、親が自分にしてくれた教育(子育て)について、
細部では不平不満がありつつも、大局的には満足しているのではないでしょうか。
だから、大抵の親は、自分の親が自分にしてくれたように、自分の子どもを育てようとする。
昨年末の朝日新聞で、電車内で大泣きする子どもにスマホで動画を見せて大人しくさせる親の行為を非難できるかどうか、
記事が出ていました。
この他にも、夜の居酒屋に子どもを連れて行くとか、
買い物やレストランで食事をしている時にも子どもに携帯ゲームをさせ続けるとか、
社会的に非難をされる可能性のあるシチュエーションですが、
その子どもが大きくなったとき、そのことを親に恨んだりすることはほとんどないでしょう。
昔だって、子ども(それが赤ん坊でも)のすぐ近くで、大人たちがスパスパ煙草をのんでいたわけですが、
そのことで親を恨んでいる人は少ないでしょう。
(親自身が自分の行為を悔いる場合の方がよっぽど多いでしょう。)
この本を読みながらそんなことを考えていました。
子ども主体で育児をするとき、当の子どもが満足しているなら、
スマホを見せたり、居酒屋に連れて行ったり…といったことを親がしないようにするには、
どんな理由付けが必要なのか、と。
この本の終盤、第23章は「思い出」の力について書かれています。これが、大きなヒントです。
どういう行為がかけがえのない時間の共有(=思い出)となるかを考えること。
スマホは基本的に一人しか画面を見ることができませんので、子どもがそれを見ている間は、
親子は同じ空間にいても、同じ時間を共有している感覚はほとんどなく、
当然、親子の思い出は希薄になります。
居酒屋の場合は、そこに「この料理美味しかったね」「また来たいね」という会話があれば良いですが、
大人がお酒を飲んで満足し、子どもが主体的に話をする機会が少なく、
あまつさえ大人がその時の記憶を失っている…なんてことになるのではないでしょうか。
11月の新聞に著者のインタビューが掲載されており、気になって購入していたもの。
年始の休暇に読むことができました。
著者は西洋古典文学の研究者で、家業である幼稚園を継ぐために大学を辞し、
現在は「お山の幼稚園」(北白川幼稚園)で園長。
文章中にも古今東西の様々な名句が散りばめられており、
またそれがそれぞれの章のテーマに適ってチョイスされており、面白い。
文章自体も抽象的な要素がほとんどなく、具体的なエピソードや絵本のタイトルが紹介されていて、
物語を読むようにすらすら読めます。
#
by wtakabe
| 2019-01-04 11:43
| 本
2018年 01月 27日
M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO の第一印象
派手さはありませんが、ボケ味、階調、コントラストの懐が深いというか、上品な描写をするレンズです。
マイクロフォーサーズの準広角(準標準)域のレンズはNOKTON含めほとんど手にしてきましたが、最高(お値段も含めて)です。
予想以上の出来でかなり気に入りました。
星撮りにも期待しています!
f1.2 連続性のあるなだらかなボケ
f4.0 水面、雲を繊細に描写してます
f2.0 背景部分を大きく切り出した画像ですが、ノーフラッシュでも降る雪がきっちり描写、美しくボケてます。明るいレンズならでは。
f1.2 寄れます(最短撮影距離20cm)。
f1.2
#
by wtakabe
| 2018-01-27 22:34